今週のお題「読書の秋」
プッツンと集中力が切れてしまったようだ。
私は手に持っている、先日発売された森見登美彦さんの『熱帯』を膝に置いた。
活字の壁を前に目が疲れてしまったようなので、手元から視線を上にやる。
そこにはよく澄んだ空の下で、燃えるように赤く色づき始めた紅葉が私を見下ろしていた。
おぉ、と自然と声が漏れ、もう秋なのだと実感する。
しばらく、ぼんやりとその鮮やかな景色をみていたら、ここで読書をしている私はなんて贅沢な時間の流れの中にいるのだろうと思えてきた。
そう思ったときには、私はまた本を開いていた。
次に紅葉を眺めたのは、あたりが暗くなってからだった。